情報更新日:2017.02.16
とよさききゅういせき
遺跡は大舟川右岸の標高約29.0mの海岸段丘上にあります。縄文前期以降の遺物包含層(Ⅲ層)と駒ヶ岳火山灰(Ⅳ層)の下にある早期の遺物包含層(Ⅴ層)を発掘調査しました。
【Ⅲ層の調査】
確認した遺構は,竪穴住居跡2軒,竪穴遺構1基,土坑10基,焼土8か所です。竪穴住居跡のうち1軒は,約2/3の検出でしたが,平面形は楕円形と思われます。付属施設は石囲炉が検出されています。また,住居長軸北側の壁際が皿状に掘り込まれており,先端ピットと思われます。構築時期は,住居の形態から縄文中期後半のものと考えられます。もう1軒は平面形が円形で,北東側に出入口構造に伴う溝状のピットが確認されています。炉は確認できませんでした。構築時期は,住居の形態や床面から出土した土器から縄文後期後半のものと判断されます。その他,調査区東側の大舟川に面して竪穴が確認されました。北側の壁際及び床が風倒木で攪乱され礫が露出しており,住居としての付属施設が確認できなかったことから竪穴遺構としました。なお,平面形は後期後半の竪穴住居跡に典型的な住居内側に張出が見られます。土坑の平面形は,円形,楕円形の2形態があります。焼土は土層断面の確認状況から廃棄されたものと思われます。
遺物は調査区全体に分布しており,縄文後期後半を主体とする土器や石鏃,スクレイパー,石斧,敲石,擦石などの石器類合わせて約2,500点が出土しています。
【Ⅴ層の調査】
確認された遺構は,土坑1基です。土坑は,40~50㎝大の礫が土坑中央部に向かって落ち込んでいる状況で確認されました。平面形はやや不整の楕円形で,規模が2.5×2.0mと大型です。
包含層を掘り下げた結果,大舟川に面した調査区中央の一部を除いて,約80㎝から5・6㎝ほどの大小の亜角礫が面的に拡がっていました。なお,現況の小段丘状の地形は,市営住宅(旧町営住宅)建設時における造成工事によるものと考えられ,本来は道道側から大舟川へ向かって緩やかに傾斜する地形と想像されます。調査区はその傾斜の先端部にあたり,亜角礫の面的な拡がりは上位からの土石流の跡と考えられます。
Ⅲ層調査 竪穴住居跡
Ⅲ層調査 竪穴住居跡
遺物は早期後半の土器やつまみ付ナイフ,凹石など約60点が出土しています。