情報更新日:2016.03.02
いしかわさんいせき
遺跡は石川の右岸に広がる丘陵地に位置しており,調査地点の標高は37~39mほどです。付近一帯は函館市内でも特に先史時代の遺跡が密集している地区であり,本遺跡の周辺には円筒土器文化の標識遺跡として知られるサイベ沢遺跡や縄文時代中期の大規模集落跡である桔梗2遺跡・石川1遺跡などがあります。
今回確認・調査した遺構は,落し穴23基,土坑1基,焼土1か所です。落し穴は,ひょうたん形と長楕円形の2つの形態があり,後者が20基で多数を占めます。規模はひょうたん形では長径2.5m程度,長楕円形では2.5~3.0m程度のものが多くみられます。長軸方向は1基を除き,概ね石川へ下る傾斜方向に向いています。長楕円形のタイプでは等高線に沿って6~7m間隔で配置される明瞭な配列がありました。長楕円形がひょうたん形を切る重複の状況が観察でき,両者の新旧関係が把握できました。1基確認した土坑は,小型の円形土坑であり,壁が袋状となるものでした。
落し穴の調査全景
重複した落し穴
遺物は表土や撹乱層,落し穴の覆土から僅かな数量が出土しています。内訳は縄文中期の土器片11点,石器類11点,計22点です。