情報更新日:2016.03.02
ひよしちょうえーいせき
遺跡は松倉川流域の湯の沢川の右岸に位置します。調査地点は南に下る緩斜面上にあり,標高は50m前後です。本遺跡については開発行為に伴った発掘調査が昭和45年に行われており,縄文時代後期のストーンサークルと称された配石遺構や墓壙,竪穴住居跡などが確認されています。今年度はストーンサークルが発見された地点から東側に100m程離れた湯の沢川の崖面に近い地点を調査しました。調査区は埋め立てされた枝沢の北側に位置します。
調査の結果,縄文時代後期を主体とした遺構・遺物が確認されました。遺構は土坑8基,落し穴1基,焼土4か所,剥片集中1か所,集石1か所があります。土坑には隅丸長方形を呈するものが4基ありました(P-1~4)。これらは近い位置にまとまって造られており,長軸方向は概ね東西を向いています。大きさは長径1.8m前後であり,同程度の深さに掘削されていました。覆土上面に配石を伴う土坑や石製垂飾品と全面研磨された磨石を伴う土坑がありました。垂飾品は長径2.4㎝程度の楕円形を呈し片側縁に刻目を施したもので石材は緑碧玉製です。配石を伴う土坑の年代は放射性炭素年代測定の結果,後期中葉に属することが判りました。これらの土坑4基については,確認した状況や出土遺物,他遺跡の類例などからも後期中葉の墓壙として位置づけできると考えられます。
土坑の調査全景
隅丸長方形土坑(P-2)の状況
遺物は土器・石器類など全体で約1,400点出土しています。包含層の下部からは早期の貝殻文尖底土器が少量出土しました。後期の遺物は中葉のものが主体であり,赤彩された注口土器の破片なども出土しました。石器類は各種の剥片石器,礫石器が出土しており,包含層下部から出土した礫石器には三角柱状の擦石,石錘などもあります。
碧玉製垂飾(P-2出土)