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発掘調査|詳細

情報更新日:2016.03.02

電電公社合宿舎遺跡 (登載番号 B-01-295)

でんでんこうしゃがっしゅくしゃいせき

調査期間
2015年05月12日から2015年09月02日
調査事由
開発事業(道路)
調査地
函館市臼尻町357番地1
調査主体
函館市教育委員会,特定非営利活動法人 函館市埋蔵文化財事業団
調査面積
1,000㎡
時期
縄文時代早期・後期

調査の概要

 遺跡は臼尻町の弁天岬に面した標高約39.5~40.5mの海岸段丘上にあります。縄文前期以降の遺物包含層(Ⅲ層)と駒ヶ岳火山灰(Ⅳ層)の下にある早期の遺物包含層(Ⅴ層)を発掘調査しました。


特徴的な遺構

 【Ⅲ層の調査】
確認した遺構には,竪穴住居跡2軒,土坑5基,柱穴状土坑67基があります。竪穴住居跡は縄文後期のものが確認できました。2軒のうち1軒は,楕円形の住居跡で南側の壁が一部内側に張り出しています。この張り出しは後期中葉から後葉の住居跡に見られる出入口と思われます。この部分には2本の柱穴がありました。炉跡は確認できませんでした。もう1軒の住居跡は,不整楕円形の住居跡で内部に石囲炉が確認できました。大型の礫も並べており,炉から30㎝ほど離れたところには2個の大型礫が平行に並べて置かれていました。2個の大型礫は炉跡に関係する施設と思われます。この住居跡は形や出土した遺物などから縄文後期前半のものと思われます。
【Ⅴ層の調査】
確認した遺構には,土坑12基があります。大きさや形はさまざまで,0.5~1.5m程度の円形,楕円形,長楕円形のものがありました。

  • 竪穴住居跡作業状況(Ⅲ層)

  • 調査区全景(Ⅴ層)


主な遺物

 【Ⅲ層の調査】
遺物は,縄文後期前半を主体とする土器が1,922点,石鏃,スクレイパー,石斧,敲石,擦石,磨石,砥石,石皿などの石器と石製品合わせて1,042点出土しています。板状の三角形石製品には,孔を開けたものや三角形に沿った刻線が入るものなどがあります。
【Ⅴ層の調査】
遺物は1,645点出土しました。土器は縄文早期後半の撚糸文土器が多く,前半の貝殻文土器もあります。石器は,石槍,つまみ付ナイフ,スクレイパーなどの剥片石器,石斧,敲石,擦石,石錘などの礫石器と石製品などがあります。

  • 石製品出土状況(Ⅲ層)

  • 土器出土状況(Ⅴ層)


刊行書名
『函館市 電電公社合宿舎遺跡』概要報告書

一般財団法人

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〒041-1613 北海道函館市臼尻町603-1
TEL.0138-25-5510/FAX.0138-25-5606

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