情報更新日:2016.03.02
でんでんこうしゃがっしゅくしゃいせき
遺跡は臼尻町の弁天岬に面した標高約39.5~40.5mの海岸段丘上にあります。縄文前期以降の遺物包含層(Ⅲ層)と駒ヶ岳火山灰(Ⅳ層)の下にある早期の遺物包含層(Ⅴ層)を発掘調査しました。
【Ⅲ層の調査】
確認した遺構には,竪穴住居跡2軒,土坑5基,柱穴状土坑67基があります。竪穴住居跡は縄文後期のものが確認できました。2軒のうち1軒は,楕円形の住居跡で南側の壁が一部内側に張り出しています。この張り出しは後期中葉から後葉の住居跡に見られる出入口と思われます。この部分には2本の柱穴がありました。炉跡は確認できませんでした。もう1軒の住居跡は,不整楕円形の住居跡で内部に石囲炉が確認できました。大型の礫も並べており,炉から30㎝ほど離れたところには2個の大型礫が平行に並べて置かれていました。2個の大型礫は炉跡に関係する施設と思われます。この住居跡は形や出土した遺物などから縄文後期前半のものと思われます。
【Ⅴ層の調査】
確認した遺構には,土坑12基があります。大きさや形はさまざまで,0.5~1.5m程度の円形,楕円形,長楕円形のものがありました。
竪穴住居跡作業状況(Ⅲ層)
調査区全景(Ⅴ層)
【Ⅲ層の調査】
遺物は,縄文後期前半を主体とする土器が1,922点,石鏃,スクレイパー,石斧,敲石,擦石,磨石,砥石,石皿などの石器と石製品合わせて1,042点出土しています。板状の三角形石製品には,孔を開けたものや三角形に沿った刻線が入るものなどがあります。
【Ⅴ層の調査】
遺物は1,645点出土しました。土器は縄文早期後半の撚糸文土器が多く,前半の貝殻文土器もあります。石器は,石槍,つまみ付ナイフ,スクレイパーなどの剥片石器,石斧,敲石,擦石,石錘などの礫石器と石製品などがあります。
石製品出土状況(Ⅲ層)
土器出土状況(Ⅴ層)