情報更新日:2015.02.19
さいべざわいせき
サイベ沢遺跡は,北海道南部の円筒土器文化を代表する大規模集落跡です。遺跡は,函館平野に面した標高20~30mの低位段丘上に立地します。
今回の調査は,常盤川総合流域防災工事に伴って実施されました。同事業による発掘調査は,平成25年にも行われており,同年の調査では竪穴住居跡13軒を確認するなど,縄文時代中期の集落跡についての調査成果がありました。
今年度は,平成25年調査区に隣接した23㎡の区域について調査実施しました。調査区は,常盤川へ下る斜面の縁辺部に位置し,標高は28.00~28.20m付近です。
調査の結果,竪穴住居跡2軒を確認しました。ともに大部分が調査区外に広がっているため,規模や平面形態は判りませんでしたが,うち1軒については,部分的に床面の状況が把握できました(PD-10)。周溝が2重に巡っており,内側の周溝から住居中央側には貼床がなされていました。柱穴は壁際に2か所あり,床面付近からは中期後葉の榎林式土器が出土しています。
調査区の全景
竪穴住居跡(PD-10)の状況
遺物は計333点出土しており,このうち竪穴住居跡から出土したものは108点です。住居跡からは中期後半の土器・石器のほか,有孔土製円盤,有孔軽石製品などが出土しています。包含層の遺物は,地形が下る常盤川寄りで多くが出土しました。
有孔軽石製品