情報更新日:2015.02.19
うすじりえーいせき
遺跡は,臼尻町の弁天岬に面した標高約39~40.5mの海岸段丘上に位置しています。発掘調査は縄文時代前期以降の遺物包含層であるⅢ層と、駒ケ岳起源のKo-f・Ko-g火山灰(Ⅳ層)の除去後に、早期の遺物包含層であるⅤ層について調査を実施しました。
【Ⅲ層の調査】
確認した遺構は、竪穴住居跡3軒、掘立柱建物跡2軒、貯蔵穴4基、土坑141基、落し穴1基、柱穴状ピット98基、屋外炉1基、焼土1か所、炭化物集中1か所です。
竪穴住居跡のうち平面形が分かるものが2軒で、卵形と不整円形をしたものがあります。卵形のものは、円礫を二重の円形に組んだ石囲炉があり、先端部を除く壁際には周溝が巡っています。構築時期は、竪穴住居跡の平面形や出土した土器型式から縄文後期初頭に位置づけられると思われます。不整円形のものは、円礫を円形に組んだ石囲炉が設置され、炉内から出土した土器型式から、構築時期は後期前半に相当すると考えられます。
掘立柱建物跡は、6本の柱穴を有するものと、4本の柱穴を有するものがあり、いずれも一辺が北東方向に面しています。土坑のなかには、坑底や外壁中および近接した位置に小ピットを伴うものが4基あり、上屋構造をもつ貯蔵穴の可能性があります。
【Ⅴ層の調査】
確認した遺構は,土坑10基,柱穴状ピット1基です。土坑の平面形は、円形と楕円形をしたものが見つかりました。柱穴状ピットは、直径約0.4m,深さ0.6mの規模です。
臼尻A遺跡全景
竪穴住居跡作業状況
【Ⅲ層の調査】
縄文後期前半を主体とする土器と石鏃、石槍、スクレイパー、箆状石器、石斧、敲石、擦石、磨石、砥石、石皿などの石器と石製品合わせて約4,400点出土しました。
【Ⅴ層の調査】
縄文早期前半の貝殻文系を主体とした土器と、石器は、石槍、つまみ付ナイフ、スクレイパー、敲石、擦石、石錘など合わせて約320点が出土しました。