情報更新日:2014.05.07
かめだなかのにいせき
平成23年7月に函館市教育委員会が行った所在確認調査で発見されました,亀田中野町を南西方向に流下する中野川の右岸に形成された段丘上,標高85~89mに立地します。平成23年度から函館新外環状道路(空港道路)工事に伴い継続調査しており,これまでに縄文時代中期中頃を主体とする竪穴住居跡2軒,竪穴状遺構1基,掘立柱建物跡1軒,土坑52基,落し穴9基などを確認し,当該時期の集落跡であることが判明しています。本年度は中野川に面した1,100㎡の範囲について調査を実施しました。調査区は,標高約83~86mの平坦部と標高約77~83m斜面部からなり,平坦部とは9mほどの比高差があります。
今年度の調査では,縄文時代中期の竪穴住居跡1軒,土坑16基,焼土6か所を確認しました。住居跡は長径3mの楕円形に構築されたもので,中期中頃に属します。これらの遺構は平坦部から斜面変換部に集中しており,斜面下部から遺構が確認されなかったことや,これまで確認された遺構の分布状況から,集落の主体部は中野川に面した南西側の平坦部に広がるものと考えられます。
調査状況
竪穴住居跡完掘(PD-3)
今回の調査では,縄文時代中期中頃のサイベ沢Ⅶ式土器を主体とした遺物2,149点が出土しています。土器は中期のものが全体の9割を占めており,他に前期・後期・晩期,続縄文時代のものが僅かに出土しています。石器は,石鏃,石斧,敲石,擦石などが平坦部を中心とした範囲から出土しています。斜面からも散漫的に遺物の出土が見られますが,これらは竪穴住居等が構築された平坦部から斜面部に流れ込んだものと思われます。縄文中期以外の遺物は今回の調査が初出であり,中期の遺構・遺物を含め断続的な人の営みがあったことが推測できます。これまでの調査で出土した遺物の総数は約1万点です。
遺物出土状況(縄文中期の土器)