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発掘調査|詳細

情報更新日:2013.10.20

函館市臼尻C遺跡 (登載番号 B-01-256)

はこだてしうすじりしーいせき

調査期間
2006年05月08日から2006年10月13日
調査事由
開発事業(道路)
調査地
函館市臼尻町600-8ほか
調査主体
函館市教育委員会,特定非営利活動法人 函館市埋蔵文化財事業団
調査面積
4,200㎡
時期
縄文時代後期中葉~後葉

調査の概要

 臼尻C遺跡は,函館市南茅部地域の臼尻町を流れる坂東川と入久川に挟まれる標高60~70mの海岸段丘上に位置しています。周辺には,坂東川右岸に臼尻小学校遺跡が,入久川左岸に豊崎G遺跡が所在しています。
調査ではまず上位の遺物包含層(Ⅲ層)を調査したのち,駒ケ岳起源のKo-f・Ko-g火山灰層(Ⅳ層)を除去し,下位の遺物包含層(Ⅴ層)の調査を行いました。


特徴的な遺構

 [Ⅲ層の調査]
検出された遺構は,竪穴住居跡25軒,竪穴状遺構1基,土坑40基,炉跡4基,焼土44基,柱穴状ピット16基,集石1基です。竪穴住居跡は1軒を除き調査区南東側の緩斜面に集中しています。
ほぼ円形のプランで,規模は直径約5~10m,深さ約0.5~1.5mです。出入口構造と考えられる住居跡内側に張り出し部をもつものがあり,段構造や対になる溝状・円形のピットがみられます。炉は地床炉と石囲炉の2種類が検出されました。また,住居跡周辺には掘り上げ土が確認されました。床面からは土器や石器のほか,ほぼ完形の赤く彩色された土器や漆製品・アスファルト塊・赤色顔料などが出土しました。住居跡の構築時期は住居形態・出土遺物から縄文時代後期中葉~後葉(約3500~3000年前)です。
土坑は調査区中央の尾根状部分,北側の斜面,竪穴住居跡の集中する南東側緩斜面に分布し,墓や貯蔵穴が検出されました。土坑の構築時期は縄文時代後期および晩期です。
[Ⅴ層の調査]
検出された遺構は,焼土3基,集石1基です。集石は直径約1mの範囲に破砕礫がまとまってみられました。

  • 調査中の様子


主な遺物

 [Ⅲ層の調査]
出土遺物点数は,土器43,352点,剥片石器2,277点,礫石器1,237点など総計89,165点です。土器・石器ともに竪穴住居跡の床面および覆土からの出土が多く,土器では約3割,石器では約5割が床面・覆土からの出土です。
土器は縄文時代前期~続縄文時代に属するものが出土し,後期中葉から後葉にかけての手稲式~堂林式が主体となっています。剥片石器では石鏃・石槍・石錐・つまみ付ナイフ・柄付ナイフ・スクレイパーなどが,礫石器では石斧・たたき石・すり石・石鋸・砥石・台石などが出土しました。
平成16・17年度に調査した臼尻小学校遺跡と同様,石鋸・擦切残片の出土が目立ちます。
[Ⅴ層の調査]
出土遺物数は,土器248点,剥片石器74点,礫石器18点など総計2,698点です。
土器では縄文時代早期前葉および後葉に相当する土器が出土しました。剥片石器では石鏃・石錐・つまみ付ナイフ・スクレイパーが,礫石器では石斧・すり石・くぼみ石・石錘などが出土しました。


一般財団法人

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〒041-1613 北海道函館市臼尻町603-1
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