情報更新日:2013.10.24
はこだてしとよさきぴーいせき
豊崎P遺跡は,函館市豊崎町にある名無川とその支流が合流する地点の左岸,標高約31~54mの海岸段丘上に立地しています。遺跡は平成19年,函館市教育委員会によって遺物が採集されたことにより新たに登載され,試掘調査で遺物が出土したⅢ層とⅤ層を対象に,今年度,発掘調査を実施しました。
【Ⅲ層の調査】
竪穴住居跡4軒,土坑7基,屋外炉7基,焼土5ヵ所,剥片集中4か所です。
竪穴住居跡は縄文時代後期中葉から末葉のもので,平面形はほぼ円形を呈し,規模は直径4~7m,深さ0.5~1.6mです。住居には出入口構造が認められ,溝状ピットが付随するものが見られます。炉は地床炉で出入り口との間に立石が見られるものもあります。
【Ⅴ層の調査】
竪穴住居跡8軒,土坑30基,屋外炉12基,焼土7か所,剥片集中14か所です。住居跡は直径3~6m程のほぼ円形で,深さが約0.8mのものと0.2m程のごく浅いものが見られました。炉は地床炉です。
調査区全景
H‐1竪穴住居跡作業風景
【Ⅲ層の調査】
縄文前期から晩期,続縄文時代の土器が約15,800点出土し,後期中葉から末葉のものが主体です。
石器は,剥片石器が約150点,礫石器が約120点,剥片・礫などが約9,800点出土しています。
そのほか,スタンプ形土製品や環状の垂飾品など6点の土製品が見られます。また,H-2竪穴住居跡の床面からは,アスファルトの塊(長さ16.0㎝,幅13.5㎝,厚さ3.5㎝,重量144g)が出土しています。
【Ⅴ層の調査】
早期中葉から末葉の土器が約7,900点出土し,尖底と平底の貝殻文土器が各1個体出土しました。
このほかは縄文が施された平底の深鉢で,末葉のものが主体です。また,土器片を加工した有孔土製円盤やミニチュア土器などの土製品が13点出土しています。石器は、剥片石器が約180点,礫石器が約90点出土しています。
このほか約23,700点の剥片や細片などが見られ,その大半は14か所の剥片集中から出土していることから,石器製作址と考えられます。