情報更新日:2013.10.20
はこだてしうすじりしょうがっこういせき
臼尻小学校遺跡の発掘調査は,平成16年度に一般国道278号函館市尾札部道路改良工事に伴って5,300㎡の調査を実施しており,縄文時代中期・後期の竪穴住居跡30軒・竪穴状遺構2基・土坑墓11基・土坑140基・落し穴4基・屋外炉3基・焼土6か所を確認しています。
今年度の調査面積は,昨年実施した調査区の北西側の1区4,900㎡および南東側の2区1,200㎡,延べ6,100㎡です。
調査の手順は,縄文時代中期・後期の包含層を調査終了後,駒ヶ岳起源のKo-f~Ko-g火山灰を剥土し,早期の包含層の調査を実施しました。
調査の結果,確認された遺構は,竪穴住居跡15軒・竪穴状遺構1基・土坑墓4基・埋設土器2基・土坑17基・落し穴3基・屋外炉2基・焼土7か所・防空壕1基です。出土した遺物の総数は17,475点です。
確認された竪穴住居跡のほとんどは,1区の坂東川に面した平坦面に構築されています。竪穴住居の構築時期は,縄文中期が1軒,後期が14軒です。土器型式が捉えられるものは,中期のサイベ沢Ⅶ式に併行するものが1軒,後期後半の手稲式~堂林式に併行するものが11軒です。
後期の竪穴住居跡では,住居内側に張り出す出入り口部の分かるものがあり,そのなかには段構造を持つものと,段構造と溝状ピットを持つもの,溝状ピットのみを持つものの3種類が確認されました。土坑墓のなかには,2区で確認された配石を伴ったものが2基あり,坑底から石鏃22点が出土し,赤色顔料も検出されています。
調査区全景
確認された2基の埋設土器は,1区の坂東川に面した平坦面に造られており,埋設土器の土器型式から手稲式に相当すると判断されます。そのなかで特筆されるのは,倒立の入り子状になった深鉢形土器が出土していることです。この土坑の周辺には2か所の焼土が検出されており,焼土が土坑内に流れ込んでいるのが確認されています。
早期の包含層の調査は,1区・2区合わせて4,800㎡の面積を
実施しました。調査の結果,遺構は確認されませんでしたが,石鏃・つまみ付ナイフ・掻器・石斧などの石器が出土している。